2016-01-14から1日間の記事一覧

肉体の狡知――三島由紀夫『美徳のよろめき』

『鏡子の家』は、読み物としてはそれほど高く評価しない。作者が登場人物に対して明晰すぎ、その宿命に至るまで見通しすぎている、というのが理由である。この小説についての作家の意気込み、同時代評の冷淡さ、三島の作品コーパス全体を見渡しての再評価、…