2016-01-15から1日間の記事一覧

階級とロマネスク――『美徳のよろめき』(続き)

三島の小説には階級観念が現れる*1。この小説の節子も上流階級の出であり、その藤井家は「ウィットを持たない上品な一族」だとされる。躾も厳しく、門地の高い家に育ち、なお堕胎を三度繰り返すような淪落した女に節子が育ったのはなぜか。彼女は「私って娼…